月刊3B 2024年6月vol.226

2024年06月26日 (水曜日)

2024

ダウン症小児、男女成人トレーニングマネキン 映画スタジオ発の高リアリズムシミュレーター

Lifecast Body Simulation – Lifecastの医療シミュレーション・マネキンは、スター・ウォーズをはじめ多数の大作映画に携わってきたロンドン近郊のエルストリー・フィルム・スタジオにおいて、クリエイティブ・ディレクターであるジョン・シューンラード(参加作「グラディエーター」「プラベート・ライアン」など)が率いる一流のアーティスト・チームにより制作され、その比類のないリアリズムでシミュレーション・トレーニングに強烈な感情移入と没入感を引き起こすことで、質の高い医療の提供に不可欠なEI(感情的知性、心の知能指数)を育てます。

今回ご紹介の3製品はいずれも、生きているかのようなリアルな外観に加え、CPR、気管挿管、IV、IO、導尿などのスキルトレーニングが可能です。

“グウェン” Lifecastダウン症小児マネキン
実在するダウン症の女の子、グウェンの身体的特徴を忠実になぞることで、筋緊張の低下、挿管が困難な気道、小柄な身長、足の親指と人差し指の広い間隔、アーモンド形の目、手のひらの一本の深い横ジワ、小さめの手と足、といったダウン症に典型的な特徴を備えるマネキンになっています。

“アリス” Lifecast成人女性マネキン
Lifecast社創設者の娘、アリス(当時30歳)をボディ・スキャンし、白人の成人女性を忠実に再現したものです。基本的な骨格、静脈、頭髪にいたるまで、そのディテールを本人そっくりに造形しています。

“カール” Lifecast成人男性マネキン
実在する白人男性のカール(当時50歳)をボディ・スキャンして、忠実に再現したものです。基本的な骨格、静脈にいたるまで、そのディテールを本人そっくりに造形しています。

先生のコラム「時間のものさし」

ことの本質: placeboとnocebo
(一財)健康教育学研究所 所長 竹内京子先生

今回の話題は,あちこちで耳にするplacebo(プラセボ,プラシーボ)効果とnocebo(ノセボ,ノシーボ)効果です。
どちらも新薬開発に伴う臨床試験(治験)と関係のある言葉です。

治験では、参加者は事前に、投薬される薬に「偽薬」placeboと「真薬」の2種類があることの説明を受けます。そして、「真薬」の好ましい効果と副作用についての詳しい説明も受けます。ただし、患者と患者さんに接する投薬関係者らは、治験で使われる薬が真薬なのか偽薬なのか、どちらのタイプの薬が使われるのかは知らされないまま、投薬が行われるという仕組みです。

placeboは「気休めの薬」とか「偽薬」という意味ですが、薬の有効性及び安全性を明らかにする検査において、有効成分が全く含まれていない材料を使う、つまり有効成分の含有量がゼロの偽薬を用いるとき、これをplaceboと称して治験を進めます。この時、偽薬には有効成分が全く含まれていないのに、まるで有効成分が含まれているかのような変化が見られることがあります。当事者の心理状態は不明ですが、患者さんの気持ちが前向きで、何事にも肯定的で鬱々と考え込まない性格の人だったのかもしれませんが、このような好ましい体調変化はplacebo効果と呼ばれています。健康状態が良くなる、ということは、精神面から免疫体力が賦活された可能性も無視できません。

nocebo は「害する」という意味を持つ言葉です。物事に対して不安感など否定的な感情が強く作用した場合,副作用をもたらす成分は全く含まれていないのにもかかわらず、健康状態が悪くなった反応を示すことに対してnocebo 効果と呼ばれます。

治験でのnocebo効果は、placebo投薬を受けている患者さんたちに多いような気がします。その根拠は、先に述べたように、治験では薬の効果や副作用について詳しい説明があること、そして、真薬の投薬物が原因の副作用は副作用を招く成分の影響なので、投与後早期に出てくるはずなのに、副作用をもたらす薬効成分が含まれていないplacebo投与群に、原因不明の副作用が出ることはおかしいわけです。治験で説明を受けた副作用という現象に神経質になった状態で、副作用がいつ出てくるか出てくるかと考えるだけでも、ものすごい不安感に煽られ、それがもたらしたニセの副作用ではないかと考えられるわけです。

「副作用に対する言い知れぬ不安感」に起因するストレスが体力の限界を超えた時に「体調不良」が生じること、これがnoceboが生じる原因ではないかと考えています。

placebo もnoceboもいずれも、大脳辺縁系や視床下部と関わりが強そうです。病は気から、気はこころ、そして信じる者は救われる!など、みな同じですね。

では,また来月。

編集後記

度重なる値上げや、インバウンド人気など各種要因が重なり、昨年にも増して今年のホテル、旅館の価格が高騰しているのを肌で感じます。
お正月の能登半島地震被害によるホテル、旅館支援の一環として始まった北陸応援割、にいがた応援旅割キャンペーンも、3月8日の発売初日に完売した旅館が続出だったようですが、好評につき先日、にいがた応援旅割キャンペーン第2弾が始まりました。
尤も、今度は7月18日までのオフシーズン期間の月~木曜の平日宿泊のみで、ホテル、旅館へ直接ではなく、旅行会社や宿泊予約サイト経由での予約限定としたのは、前回のキャンペーンの反省も兼ねてということなのでしょう。
発売初日、多くの旅館では電話が鳴りっぱなしで、とても対応しきれず、予約できなくてクレームにまでなったというのは本末転倒ですね。

ところで以前、テレビでも紹介されましたが、新潟にはピアノ演奏すると100円~で宿泊できるという、面白いプランを設定している旅館があります。
1日1組限定で、1日目、2日目とも90分演奏が必須ですが(45分ずつ計4回に分けてもOKでしたが)結構先まで予約が埋まっているようです。
ピアノはKAWAIグランドピアノ、ただ、椅子が調整しにくかったので、位置が低いと感じる人は、クッションを重ねて調整した方がいいかもしれません。
また、指定はありますが、ピアノ以外の楽器演奏も可能なようですので、物価高の昨今、演奏してみたい方や、度胸をつけたい方には恰好のプランかもしれません。

越後平野と弥彦連山一望の宿 穂々

By 岩子