力のベクトル和の実験による検証
実験番号:UE1020300
「力の合成・分解実験器」を使用することで,力のベクトル和や力の分解を明確に実験で示すことができます。3力の釣合い点は実験器の天板の中央になります。力の大きさは吊り下げる分銅の重さであり,力の方向は天板に記された角度目盛により知ることができます。
実験の手順
- 3力の釣合いを,図に書く
- 2つの同じ大きさの力が対称に働くときの,合成力の分析
実験に必要な機器
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基本原理
力はベクトル量であり,2力以上が働くときはベクトル和を取る必要があります。2力の合成を図で行う場合,2番目の力の原点を動かし,1番目の力の原点に一致させたり,1番目の力のベクトルの先端に一致させたりします(剛体に働く力の場合は別となります)。統一的に扱うには「力の平行四辺形」を作図します。
力のベクトル和は,U52004 で明確に示すことができます。3力の作用点は力が釣合っていると,天板の中心に位置します。力の大きさは吊り下げる分銅の重さであり,力の方向は天板に記された角度目盛により知ることができます。
平衡状態では,3力の和は0となります。
(1)
-F3 は,釣合っているという条件から,F1+F2 と等しくなります。
(2)
F3 と平行なベクトル成分は,次のように表されます。
(3)
F3 と垂直なベクトル成分は,釣合っていることより0 となり,F1,F2を使って表すと,
(4)
となります。
この(3)式及び(4)式が,解析的なベクトル和の計算方法となります。この為に実験ではF3を0°に合わせておくと良いでしょう。 図による解析では,3 力を大きさと向きに注意して力の作用点から描きます。そして1 つの力を固定して,他の2 力をそれぞれ平行移動させ,力のベクトルの先端が移動させた力の作用点となるようにします。力が釣合っていれば最後の力のベクトルの先端が,移動させなかった力の作用点に一致します。これは3 力の合力が0 であることを示しています(図3 参照)。
力F1とF2 がF3 に対して対称に働いているときは(4)式は次のように単純な形で表されます。(図4 参照)