動摩擦力と静止摩擦力
実験番号:UE1020500
動摩擦の測定には摩擦測定器を使用します。この実験器は静止状態にある物体にバネばかりをつないだものが,移動可能な摩擦板の上に置かれた構成になっています。摩擦板を一定速度で引っ張ることにより,物体と摩擦板の間に生じる摩擦を測定します。静止物体の有効重量(それに応じた法線方向の力,つまり法線力)を変える際には,移動台の角度を変えます。
実験の手順
- 静止摩擦と動摩擦の比較をします。
- 動摩擦の接触面積への依存性の測定をします。
- 動摩擦の材質の組み合わせへの依存性の測定をします。
- 動摩擦の2つの物質の接触面に垂直な方向に働く力(法線力)への依存性の測定をします。
実験に必要な機器
実験解説書
基本原理
物体を水平面に沿って静止状態から移動させるには,静止摩擦の力を上回る外力を加える必要があります。いったん物体を動かし た後,その物体を同じ表面上で動かし続けるには,動摩擦を超える力を必要とします。最大静止摩擦力と動摩擦力では前者の方が大 きい事が知られています。これは,物体を動かすとその下にある台の表面との間で滑りが生じ,この時,物体と台の両者での接触が弱くな るためと言われています。しかし,摩擦力の発生機構については,まだ分かっていないことも残っています。
摩擦力は接触面積には依存せず,主に物体の材質と接触面の粗さとで決まります。これらはまた,物体を互いに押しつける方向に加わる 接触面に垂直な方向の力に比例します。
この法線力FNと呼ばれます(この力は,接触面に垂直な方向である法線方向に働きます)。静止摩擦係数 μStat と動摩擦係数 μ Dynは,以下の2つの式で定義されます。
本測定器では,バネばかりにつながれた停止状態にある物体の下から,表面の粗い板を一定速度で引き抜くことによって動摩擦力の測定 を行います。測定は,いろいろな材質と接触面積の組合せに対して行います。移動台の傾斜角を変えることで,物体の法線力を変えます。
評価
移動台を角度 a だけ傾けた場合に,質量 m の物体に傾斜面に垂直な方向に働く法線力は次の式で与えられます。