フレネルバイプリズム
実験番号:UE4030300
発散光をバイプリズム(複プリズム)で屈折させて光線を2つに分離させると,これらはコヒーレントであるために,互いに干渉します。実験で使われる光の波長は,仮想光源間の距離と,隣接する干渉帯間の距離を使って測定されます。
実験の手順
- フレネルバイプリズムを使って,単一の点光源から,2つのコヒーレントな仮想光源(虚光源)を生成します。
- 仮想光源から生成された2つの分離した光線間の干渉を観察します。
- 干渉バンド間の分離によって,He-Neレーザーから射出された光の波長を求める。
実験に必要な機器
- U14053:フレネルバイプリズム ×1
- U21840:He-Neレーザー ×1
- W30614:アクロマート対物レンズ・10倍 ×1
- U17104:凸レンズ,絞り50mm,焦点距離+200mm ×1
- U103111:光学キャリア・D型,幅5cm,軸さや高9cm ×3
- U10302:光学台,500mm・D型 ×1
- U17130:投影スクリーン ×1
- U13265:支柱用台座 ×1
- 巻尺・2m ×1(別途ご用意ください)
- 光学台用プリズム台 ×1(別途ご用意ください)
実験解説書
英語版 実験手順書 ダウンロード(参考,一部取り扱いのない製品も含まれています)
基本原理
オーギュスト・ジャン・フレネルは,干渉に関する実験のひとつで,2つの光線間に干渉を起こさせるために,バイプリズムを使用しました。彼は,バイプリズムを使って発散光を屈折させることにより,2つの光線を作りました。2つに分離した光線は,2つのコヒーレントな光源から射出された光のように振る舞うために,互いの間で干渉を起こします。こうして得られた2つの光線を,スクリーンに投影させた結果,彼はそこに,一定間隔で並ぶ光の強度のピークを見出しました。
光の強度にピークが生じるか否かは,2つに分離した光線の経路差である,光路差Δに依存します。光源のスクリーンからの距離 L が大きい場合には,以下の式が,光路差Δの良い近似式になります。
(1)
ここで x は,2つの光線の対称軸に対して垂直に設置したスクリーン上での,観察点の位置座標を表します。Aは測定によって定められる,2つの仮想光源間の距離を指します。スクリーン上に表れる光の強度のピークは,2つの光線の光路差Δが,正確に波長λの整数倍となる位置に表れます
(2)
式(1)と(2)の比較から,光の強度のピークは,以下の座標位置に生じます。
(3)
ピーク位置間の距離は,一定の値 Dになります。これらの距離の間に,以下のような関係式が成り立ちます。
(4)
方程式(4)は,実験に使用される光の波長λを求めるための計算式とみなすことができます。この式は常に,2つの光線間の干渉に適用できす。
これらの計算を実行するには,2つの仮想光源間の距離Aを測定する方法を,決める必要があります。これは,収束レンズを含む,簡単な光学装置を使って,2つの光源の像をスクリーン上に結像させ,それらの間の距離 B を測定することにより,可能になります。その結果を使って,距離Aは,以下のように求められます。
(5)
ここで,a は被写体距離,b は像距離を表します。
バイプリズムの代わりに,フレネルミラー(U10345)を使って,2つの仮想光源を生み出すことも可能です。
この実験では,光源にレーザーが使用されています。その光線は,レンズで拡散されます。光源の位置は,正確には分からないので,被写体距離 a もまた,正確には分かりません。そこで,この距離を,レンズの焦点距離 f と,容易に計測可能な像距離 b をもとにして,ガウスの結像公式を使って計算 する必要があります。
この公式は,以下のように書き表されます:
距離 Dと L は,直接計測することが可能です。これらに加えて,式(5)を使って以下の計算を実行することにより,Aの値を算出すれば,式(4)から ,光の波長が求められます。