高齢者の健康増進・介護予防のための運動療法 〜歩行能力の維持と向上をめざして〜
スポーツ選手のリハビリテーションは怪我や故障を起こした選手に対応していますが,その考え方や技術の応用範囲はスポーツ選手にとどまらず,高齢者の運動療法にも広く発展できます。
いつまでも自分の力で歩けること。それは高齢者にとって大きな喜びになります。歩くためには「筋力」「バランス」「持久力」「協調性」「巧緻性」など,様々な体力要素が必要になります。高齢者が低下した体力レベルをうまく他の体力要素でカバーして歩行するということは,スポーツ選手が記録の更新をめざすことと同じかもしれません。加齢によって確実に体力は衰え,筋力も減少します。そして,いつかは要介護状態になるでしょう。その忍び寄る不安に,備えておくべき対策があるのです。健康状態を維持し,健康寿命を延ばすことで「QOL(Quality of life)」すなわち「生活の満足度」や「生き甲斐」を拡大し,健康増進につながります。
このDVDでは,高齢者の健康増進,介護予防のための様々な運動療法を紹介しています。理学療法士,医師,運動器疾患のリハビリテーションに従事されている方,また高齢者を介護する職種や看護職を目指す方の教材として,是非お役立てください。
- 指導・解説:浦辺 幸夫(広島大学大学院保健学研究科スポーツリハビリテーション学研究室教授,医学博士/理学療法士)
- 実技:
- 金澤 浩(マッターホルンリハビリテーション病院リハビリテーション部部長/理学療法士)
- 山本 圭彦(福原リハビリテーション整形外科内科医院リハビリテーション科主任/理学療法士)
- 浦辺 直子(介護老人保健施設三滝ひまわり/理学療法士)
- 撮影協力:マッターホルンリハビリテーション病院
高齢者の健康増進・介護予防のための運動療法の内容(52分)
イントロダクション
- 健康寿命の考え方
- 高齢者が抱える身体面の問題
- 年齢による10m歩行時間の変化
- 体力の要素
- DVDを見て頂きたい方
- DVDのながれ
健康度の評価と運動のポイント
- 体力の要素
- 10m歩行
- タイムドアップ&ゴーテスト
- 6分間歩行/椅子からの立ち上がり
- 背臥位からの起き上がり
- 腹臥位からの上体そらし
- 腹筋の筋力が低下している場合
- 片脚立位バランス
- 継ぎ足歩行
- 後ろ向きで継ぎ足歩行
- ファンクショナルリーチ
セラピストが行う筋力増強運動(足首をそらせる運動)
- 膝を伸ばしたまま下肢を挙上
- 股関節の内転・外転
- 膝関節の伸展
- 股関節の伸展(ブリッジ動作)
- 両脚を支えてお尻を浮かせる方法
- 腹筋運動
- 腹臥位で膝関節の屈曲(1ハムストリング2大殿筋)
- 背筋運動(1腕立て2両肩の補助3独力で伏臥上体そらし)
- 座位で股関節の屈曲
- 座位で膝関節の伸展
高齢者が自分で行えるエクササイズ
- 足首を上下にゆっくり動かす(足関節の背屈・底屈)
- 下肢後面の筋をストレッチ
- ブリッジ動作
- 腹筋運動(1頭と上半身の一部を持ち上げる2膝を曲げて上半身を後ろに倒す)
- 膝を立てて身体を捻る運動
- 腹臥位で背中をそらす
- アキレス腱のストレッチ
- 足趾のエクササイズ(1タオルギャザー2ジャンケン)
- カーフレイズ(踵上げ運動)
- 立位バランス
- ゴムチューブを使って膝を伸ばす
- ゴムチューブを使って股関節の外転筋を鍛える
- ボールをつぶして股関節の内転筋を鍛える
虚弱な高齢者の運動療法(機器を用いて行う運動)
- レッグエクステンション
- レッグカール
- レッグプレス
- 股関節の内転・外転
- 固定自転車によるペダル駆動エクササイズ
- ストレングスエルゴ
- ステップマシン
- トレッドミルでの免荷装置
新しい運動療法装置の開発(らっくんウォークR-5)
- 転倒予防靴下
- 外反母趾対策靴下
- 足関節背屈補助靴下
- 高齢者の運動指導での注意点