膝関節疾患に対する理学療法 〜変形性膝関節症を中心とした評価と治療〜
- バイオメカニクスを基にした評価と治療法を丁寧に解説
- 10項目の”Meaningful Task”で歩行動作の問題を分析
- アプローチの理論的背景がわかる解説書(PDF形式・15P)付き
歩行障害と一口に言っても,歩行のどの機能に問題があるのか最初に見極めなくては,評価や治療はできません。ただやみくもに歩行を分析しても,その症例がどのように歩いているかを見ているだけで,健常歩行との違いが羅列されるにすぎません。そこで今回は,変形性膝関節症を例に様々な症例に対応できるよう,10項目のMeaningful Task(意味のある運動課題)で歩行を段階的に動作分析し,機能の問題を明らかにしたうえで治療方法を紹介していきます。解説していただいたのは,歩行のバイオメカニクスと治療アプローチに精通された石井慎一郎先生。臨床現場で正確な判断ができるよう,わかりやすく丁寧に進めていただきました。また,講義の内容は,変形性膝関節症に限定されたものではなく,膝関節の機能障害を有する,その他の疾患にも共通するものです。担当されている症例に当てはめながらご覧ください。すべてのセラピスト待望のシリーズです。
実演・解説:
石井 慎一郎(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 リハビリテーション学科 准教授)
段階的評価法(32分)
まずはScrew Home Movementを評価し,その動作が歩行中に正しく行われているか確認するためのMeaningful Taskを紹介します。全10項目でテスト評価し,問題がある機能を明らかにします。
Screw Home Movementの評価
- 非荷重位におけるScrew Home Movementの評価
- 大腿骨と脛骨のアライメントをチェック
- 脛骨回旋可動性の評価
- Screw Home Movementを阻害する組織のスクリーニング(ハムストリング)
- Screw Home Movementを阻害する組織のスクリーニング(薄筋)
- Screw Home Movementを阻害する組織のスクリーニング(縫工筋)
- Screw Home Movementを阻害する組織のスクリーニング(その他)
- Closed kinetic chainでのScrew Home Movementの評価
- Closed kinetic chainでScrew Home Movementを評価する場合の注意点
- Closed kinetic chainでScrew Home Movementが起こるメカニズム
Meaningful Task
- 初期接地の膝関節の安定化
- 初期接地から全足底接地の足部と下腿部の適切な配列
- 荷重応答期の衝撃吸収
- 全足底接地から立脚中期の膝関節伸展
- 立脚中期における膝関節の内反角度の中立位化
- 立脚中期以降のコントロールされた足関節背屈と股関節の伸展
- 立脚後期の踵離地とフォアフットロッカーの形成
- 踵離地の際の反対側への重心移動
- 前遊脚期における大腿の前方への加速
- 遊脚後期の膝関節の伸展
評価に則した治療法(60分)
第一巻で行ったMeaningful Taskの評価から考えられる,機能の中で欠落している要素と,代償として出現している要素を基に立案した実際の治療方法を紹介します。
Screw Home Movementを阻害する組織のリリース
- 大腿膝蓋支帯のリリース
- 大腿外側広筋のリリース
- Screw Home Movementの誘導
- 内側膝蓋支帯のリリース
- 内側側副靭帯と内側関節包のリリース
- 鵞足に付着する筋のリリース(浅鵞足)
- 鵞足に付着する筋のリリース(縫工筋)
- 鵞足に付着する筋のリリース(膝窩後面)
- 鵞足に付着する筋のリリース(膝窩筋)
- 鵞足に付着する筋のリリース(半膜様筋)
正しい膝関節の動きを引き出すための治療
- 膝関節伸展の可動域を広げる
- 膝関節のアライメントを整える
- Closed kinetic chainで膝関節が完全伸展位にアラインできるかの評価
- 股関節の機能評価(立位)
- 骨頭荷重エクササイズ
- 股関節の機能評価
- L3の分離トレーニング
- 変形性膝関節症における足部の問題
- 足部のリアライメント(解説)
- 足部のリアライメント(実技)