脳卒中後遺症者のADL障害に対するアプローチ
脳卒中後遺症者のADLの評価,そしてADL障害へのアプローチについてはその自立度が優先されるため,麻痺側上肢を用いない,すなわち非麻痺側上肢のみを用いたアプローチが優先的に行われています。また,一般的にADL練習はやり方を分析され,そしてその手順の失敗を修正しながら自立を目指す方法で行われていて,決められた手順を繰り返すという課題にだけ焦点をあてた練習が常識的とされています。しかし脳卒中後遺症者のADL再獲得が困難なのは姿勢制御の問題と感覚・知覚障害の問題が理由となっている場合も多く,非麻痺側の知覚的操作能力も含め,一人一人の対象者に合ったオーダーメイドの評価と介入が重要となります。
このDVDではニューロリハビリテーションとADLについて考え,姿勢調整の方法,日常生活動作それぞれの分析と介入の方法について取り上げています。麻痺した手足から情報が入って来ることは脳の回復にとってたいへん重要です。麻痺した手足をADLに参加させる,参加できないならその理由を考え,PT,OT,STがそれぞれの立場から取り組んでいかなければなりません。ここではそれをどのように考えどのように取り組むかについて,臨床家ならではの視点から紹介しています。
実技・解説:
- 伊藤 克浩 (理学療法士、山梨リハビリテーション病院)
- (公社)日本理学療法士協会理事、日本理学療法士協会神経系専門理学療法士
- (社)日本ボバース研究会会長、IBITA/JBITA 成人中枢神経疾患上級講習会インストラクター
ADL障害に対するアプローチ概論/姿勢調整(55分)
経生理学的に姿勢がどのように調整されるか,手を使うためにはどのような姿勢が必要かについて,その考え方と姿勢調整の実際について紹介します。
ADL障害に対するアプローチ概論:講義
- ADL(日常生活動作)について
- ニューロリハビリテーションとADL
- 臨床場面での脳卒中者は
- 姿勢制御(Postural Control)
- 二足直立の神経機構(Human bipedal standing)
- 先行随伴性姿勢調整
先行随伴性姿勢調整と正常な姿勢:実技
- 正常な座位姿勢
- 活動場面での座位姿勢の役割
- 姿勢調整の例(座位)
- 車椅子での座位
- 立位から座位へ
ADL評価と介入-1(46分)
物や重さ重心などを知覚するメカニズムと運動学習成立のプロセスについての考え方と,実際のADLの評価(食事,整容)について紹介します。
物や重さ重心などの知覚について
- 魔法の杖現象(Wand phenomenon; Dennet)
- ダイナミックタッチ
- Anokhinによる運動学習成立のプロセス
ADL評価と介入
- FIM運動項目と認知項目
- 食事(摂食・嚥下の前に)-先行期-
- 整容(洗顔・歯磨き)
- 整容(髪をとかす)
- 整容(クリーム・リップ・ひげそり)
ADL評価と介入-2(56分)
布や紙を扱う為の知覚的操作,および洗体動作,更衣動作,トイレ動作等のADL評価と介入について紹介します。
ADL評価と介入
- 布や紙を扱う為の知覚的操作
- 清拭(洗体動作)
- 更衣動作(上着)
- 更衣動作(下衣・ズボン)
- 更衣動作(靴下履き)
- 更衣動作介入
- トイレ動作
まとめ