パーキンソン病の理学療法 ~パーキンソン病の基本と歩行障害への対応~
高齢化に伴い,パーキンソン病の患者は急増
パーキンソン病の世界の有病率は,人口10万人に対して100~300人と報告されており,神経変性疾患のなかではアルツハイマー病に次いで頻度が高い疾患です。 近年,高齢者の増加に伴い,先進国ではパーキンソン病患者の増加が危惧されています。
進行のパターンは,振戦,固縮が,一側の手(足)に出現し,やがて同側の足(手)にも認めるようになり,さらに進行すると,対側の上下肢にも出現するようになります。 Vol.2では,歩行障害に焦点を当て,評価,そして実際の理学療法について紹介しています。
現在パーキンソン病に対する理学療法は,薬物療法と並んで不可欠な治療手段となっています。 また,理学療法では,直接的に生活機能に関わることになるため非常に重要な位置付けになっています。
このDVDをご覧いただき,パーキンソン病の基本と歩行障害に対する理学療法の重要性について理解を深めてください。
解説:松尾 善美
武庫川女子大学 健康運動科学研究所 所長/専門理学療法士(神経)/博士(保健学)
解説:石井 光昭
佛教大学 保健医療技術学部 理学療法学科 教授/専門理学療法士(神経)/博士(保健学)
パーキンソン病の基本(47分)
パーキンソン病の基本を理解するために,その歴史から発生のメカニズムと病態,診断基準と医学的治療の内容,歩行障害の特徴などについて紹介します。
- イントロダクション
- はじめに
- パーキンソン病の歴史と疾患の経過
- 大脳基底核の機能
- パーキンソン病の病態
- 診断基準
- 診断基準
- Hoen-Yahrの重症度分類
- パーキンソン症候群の分類
- 症候性パーキンソニズムとの鑑別
- 医学的治療
- パーキンソン病の薬物療法
- パーキンソン病に対する外科療法
- 臨床徴候
- 四徴候の特徴と機序(安静時振戦,固縮(筋強剛),無動・寡動,姿勢反射障害)
- パーキンソン病の姿勢異常
- パーキンソン病の摂食嚥下障害の特徴
- 歩行障害の特徴
- 大脳基底核による歩行の制御とパーキンソン病の歩行障害
- 歩行障害の2つのカテゴリー
- 各病期の歩行障害
- すくみ足
- 加速歩行
歩行障害の評価と理学療法(46分)
パーキンソン病による歩行障害の内容について詳しく考察し,その評価の方法と理学療法について症例映像などを交えながら紹介します。
- 歩行障害の基盤
- 自動性の低下と認知機能による代償との相互関係
- シークエンス効果(sequence effect)
- 運動・認知・辺縁ループの競合
- 予期的姿勢調節とステップの組み合わせ異常
- 遂行機能障害
- バランス保持と注意機能
- すくみ足と情動
- 歩行障害の評価
- 検査
- 質問に基づく評価
- 評価における注意点
- 理学療法の実際
- 基本的な考え方
- 代償的な戦略の内容
- 代償的な動作指導戦略の分類
- 外的キュー
- 歩き始め,方向転換,目標物の手前,狭所の通過時のすくみ足の指導
- 加速歩行に対する指導
- 環境調整
- おわりに
2021