誘起起電力
実験番号:UE3040100
管の中に棒磁石を自由落下させることで,同一の径,同一の巻き数の直列につながれたコイルを磁石が次々と通過していきます。それぞれのコイルに誘導起電力が発生しま すが,棒磁石の速度が増すにつれて,電圧振幅は大きくなります。しかし通過する磁束は,一定に保たれます。
実験の手順
- 直列に接続されたコイルを,磁石が通過していく様子を観察します。
- 時間に従って,誘導起電力を測定します。
- 磁束を時間ごとに計算します。
実験に必要な機器
- U8511200:速度と誘起電圧の関係実験器 ×1
- U138021:プラグ付き安全リード線・75cm・15本セット ×1
- 1022284:WiLab ×1
- UCMA-BT32I:差動型電圧センサー, 500mV
- UCMA-BTSC1:センサー接続ケーブル
- Windows PC ×1(別途ご用意ください)
実験解説書
基本原理
閉じたループをなすコイルに磁束の変化を与えると,誘導起電力が発生します。この実験器では,コイルを巻きつけた管を固定し,磁石を自由落下させることで誘導起電力を観測できるようにしてあります。この実験では時間毎の誘導起電力だけでなく,電圧を時間積分することで磁束を扱うことになります。
(1)
(2)
最後の式は,ある時刻間の磁束の変化を表しています。チューブ内を磁石が自由落下することで,管に巻きつけた巻き数の同じ6つのコイルを磁石が通過します。それぞれのコイルに誘起される電圧は,正負とも下に位置しているコイルの方で大きくなります。これは磁石が,自由落下という定加速度運動なので,下に行くほど速度が大きくなり,結果磁束の時間変化が大きくなるためです。しかし式にもあるとおり,電圧を時間積分したもの(=磁束)は最大値が一定となります。磁束が最大値を取るのは,磁石がコイルの中心にいる時となります。実験は磁石がコイルに近づいてきたときに,発生電圧が負になるようにセッティングします。
誘起電圧は磁石が通過中に,一旦0 になります。この時磁石はコイルの中心に位置していて,磁束の変化がなくなるためです。その後磁石がコイルから離れていくと,正の電圧が誘起されます。時間に対する電圧の測定より,任意の時間の磁束を式から求めることが可能です。
磁束の最大値は,どのコイルでも測定誤差の範囲内で同じになります。