内部エネルギー
実験番号:UE2030300
この実験は,摩擦によりアルミニウム体の内部エネルギーが増加する事を確認できます。この内部エネルギーの増加は,アルミニウム体の温度上昇によって分かります。この時,アル ミニウム体に化学的変化や相変化は見られず,摩擦の仕事に従って温度のみが上昇していくことより,内部エネルギーの増加を結論できます。厳密に言えば,アルミニウム体と雰囲気 との間の熱移動も検討すべきですが,実際に実験前後の雰囲気の温度上昇を測定すると,熱移動を考慮しなくても良いことが分かります(誤差の範囲内)。
実験の手順
- 摩擦紐を巻きつけたアルミニウム体の,回転数に対する温度を測定します。
- 摩擦に対する仕事と温度変化が比例することを確認し,熱力学の第一法則(エネルギー保存則)を確かめます。
- アルミニウム体の熱容量を計算します。
実験に必要な機器
実験解説書
英語版 実験手順書 ダウンロード(参考,一部取り扱いのない製品も含まれています)
基本原理
熱力学の第一法則によれば,内部エネルギーの変化ΔEは,なされた仕事ΔWと移動した熱量ΔQの和に等しい事が分かります。これは化学的変化や相変化なしで起こる,系の温度変化ΔT により確かめられます。実験から,力学的仕事によりアルミニウム体の内部エネルギーが増加することを確認します。装置のハンドルを回すことにより,円筒形状のアルミニウム体が回転します。巻き付けられた紐により摩擦が起き,アルミニウム体の温度が上昇します。摩擦力Fは紐の端に取り付けられ,ぶら下がっている錘の重量になります。その為n 回回転した時に摩擦が行う仕事ΔWn は,アルミニウム体の直径をdとすると次のようになります。
(1)
アルミニウム体がn回回転する間に摩擦による仕事で,アルミニウム体の温度が初期値のT0 からTn に上昇します。この時内部エネルギーの増加分ΔE は,
(2)
となります。ここでcAl はアルミニウム体の比熱です。出来る限り,雰囲気中との熱のやりとりの影響をなくすためには,以下のようにすると良いでしょう。実験を始める前に,アルミニウム体を雰囲気温度からわずかに冷やしておきます。その後,実験を開始し,実験終了時のアルミニウム体の温度の目安は,雰囲気温度からわずかに上昇した温度とします。また実験開始前のアルミニウム体の温度と雰囲気温度との差が,実験終了時のアルミニウム体と雰囲気温度の差に等しくなるようにするのが良いでしょう。こうすることにより,雰囲気との熱のやりとりの影響を最小にすることができます。これで内部エネルギーの増加が,摩擦のした仕事に等しいという熱力学第一法則を確認できます。
(3)
関係式から温度Tnを温度T0と仕事ΔWnで表すことができます。
実際の到達温度Tnとその時の仕事ΔWnをグラフにプロットすることで,傾きから比熱cAlを求めることが可能です。ただしこの時,アルミニウム体の温度が雰囲気温度より低い領域と高い領域では,実測点は直線上から外れてきます。これは,低い領域ではアルミニウム体が雰囲気から熱を奪い,仕事量以上に温度が上昇するためです。逆に高い領域では,アルミニウム体から雰囲気が熱を奪い,仕事量よりも小さな温度上昇となるためです。